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スーパーラグビー・パシフィック 全11チーム徹底ガイド【2025-26】

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スーパーラグビー・パシフィックは、ニュージーランド・オーストラリア・フィジー・サモア・トンガの選手たちが集うサザンヘミスファー(南半球)最高峰のクラブリーグだ。2022年に現行の「パシフィック」フォーマットに再編され、全11チームがしのぎを削っている。

各チームの成り立ちを知ると、試合の見方がガラッと変わる。


ニュージーランド勢(5チーム)

クルセイダーズ

本拠地: ラグビーリーグパーク(クライストチャーチ、ニュージーランド) 創設年: 1996年 タイトル歴: スーパーラグビー通算13回優勝(歴代最多)

スーパーラグビーの歴史を語るとき、クルセイダーズを外すことはできない。1998年から2000年に3連覇、2002・2005・2006・2008年にも優勝し、2017〜2019年には3連覇を達成。さらに2022・2023・2025年にも制覇と、まさに別格の存在だ。

チームカラーは赤と黒。ニュージーランド南島北部のカンタベリー州を中心とした地域から選手を集め、毎年オールブラックスへ多くの選手を輩出し続けている。スコット・ロバートソン前ヘッドコーチ時代の7シーズンで5回優勝という記録はいまも語り草になっている。

2025-26シーズンの注目は、ウィル・ジョーダン(FB、代表25caps)とスコット・バレット(LO、代表62caps)の兄弟コンビ。バックスの破壊力とFWの安定感はリーグトップクラスだ。


ブルーズ

本拠地: エデンパーク(オークランド、ニュージーランド) 創設年: 1996年 タイトル歴: 優勝4回(1996・1997・2003・2024年)、トランスタスマン優勝(2021年)

スーパーラグビー初年度から2連覇という圧倒的なスタートを切ったブルーズ。ニュージーランド最大都市・オークランドを本拠地とし、オールブラックスの歴代スタープレーヤーを多数輩出してきた。

2024年に20年ぶりに優勝を果たし、再び時代の頂点に立った。その立役者のひとりがボーデン・バレット(SO、代表116caps)。世界最高クラスのプレーメーカーで、試合のキーポイントで必ず顔を出す選手だ。

オファ・トゥウンガファシ(PR、代表53caps)はスクラムの要として長年チームを支え、ダルトン・パパリイ(FL/No8、代表26caps)は運動量とボール奪取でチームに欠かせない存在。オークランドという都市の多様性を反映した多国籍ロスターが特徴だ。


チーフス

本拠地: ワイカト・スタジアム(ハミルトン、ニュージーランド) 創設年: 1996年 タイトル歴: 優勝2回(2012・2013年)

「ギャラガー・チーフス」の名でも知られる、ニュージーランド中部・ワイカト地方を代表するチーム。2012・2013年の連覇でチームの地位を確立したが、それ以降も安定してプレーオフに進出し続けている。過去8シーズン連続プレーオフ進出という記録を持つ。

日本とのゆかりも深い。リーチマイケルは2015〜2017年にチーフスに在籍し、山下裕史も2016年に加入した。現在も多くのパシフィックアイランダーが在籍し、マオリ文化を大切にする風土がある。

今季の注目選手はデイミアン・マッケンジー(SO)とウォレス・シティティ(FL/No8)。シティティは2024年ワールドラグビー最優秀選手にも選ばれた、現在NZ最高のフランカーのひとりだ。


ハイランダーズ

本拠地: フォーサイスバース・スタジアム(ダニーデン、ニュージーランド) 創設年: 1996年 タイトル歴: 優勝1回(2015年)

スコットランド系移民が多く住む港町・ダニーデン。その地名に由来する「ハイランダー(スコットランド高地人)」の名を持つチームは、2015年にハリケーンズを下して悲願の初優勝を果たした。

チームカラーは青と黄色。南島南部の雄であり、近年はジェイミー・ジョセフ(元日本代表ヘッドコーチ)が監督に就任したことで日本でも注目度が高い。田中史朗(2013〜2016年)、姫野和樹(2021年)と日本人選手の在籍歴も豊富だ。

2025-26シーズンの注目選手はトマス・ラバニーニ(LO)。アルゼンチン代表として長くプレーした世界的なラインアウターで、ハイランダーズのセットピースに安定をもたらしている。


ハリケーンズ

本拠地: ウェストパック・スタジアム(ウェリントン、ニュージーランド) 創設年: 1996年 タイトル歴: 優勝1回(2016年)、準優勝2回

ニュージーランドの首都ウェリントンを本拠地とし、風の強い港町にちなんだ「嵐(ハリケーン)」の名を持つ。2016年にクリス・ボイドが率いてスーパーラグビー初優勝を果たした。

ジョーディ・バレット(SO)はボーデンの弟であり、バレット家3兄弟はスーパーラグビー史でも異例の存在だ。カム・ロワガード(SH)はNZで最もエキサイティングなハーフバックのひとり。その組み合わせは観ていて飽きない。

フォースのFWを主導するデュプレシス・キリフィ(FL)やタイレル・ロマックス(PR)もこのチームの核。試合を通じてオープンで積極的なアタッキングラグビーを貫くスタイルは、中立ファンも惹きつける。


オーストラリア勢(4チーム)

ACTブランビーズ

本拠地: キャンベラ・スタジアム(キャンベラ、オーストラリア) 創設年: 1996年(前身のACTラグビーユニオン設立は1937年) タイトル歴: スーパー12優勝2回(2001・2004年)、スーパーラグビーAU優勝(2020年)

オーストラリア首都キャンベラのチーム。人口規模では他の主要都市に劣るが、スーパーラグビーの歴史においては堂々たる強豪だ。1998年に就任したエディー・ジョーンズ(元イングランド代表監督)のもとで黄金時代を迎え、2001・2004年に優勝。2000年から5シーズン連続プレーオフ進出という時期もあった。

2023年10月には来日し、東京サントリーサンゴリアスリコーブラックラムズ東京と対戦した経験もある。

注目選手はジェームズ・スリッパー(PR、代表131caps)。100キャップを超えるベテランで、スクラムの柱として今なお現役最前線に立つ。アラン・アラアラトア(PR、代表33caps)との右PRコンビはオーストラリア最強クラスだ。


NSWワラタス

本拠地: シドニー・フットボール・スタジアム(シドニー、オーストラリア) 創設年: 1996年(前身のNSWRU設立は1874年)

オーストラリアのラグビー発祥の地・シドニーを代表するチーム。ニューサウスウェールズ州ラグビーユニオン(NSWRU)は1874年設立で、スーパーラグビー参加チームのなかで最古の歴史を持つ組織のひとつだ。

1927〜28年の英国・北米遠征では31試合24勝という成績を収め、当時のオープンラグビーを世界に披露したことで知られる。

現在は次世代を担う若手が台頭中。ジョセフ・スアアリイ(WTB/CTB)は2024年に史上最年少でワラビーズデビューを飾り、すでに世界的な注目を集めている。アンドリュー・ケラウェイ(WTB)は安定した走力でチームのアタックを牽引する存在だ。


クイーンズランドレッズ

本拠地: ブリスベン(クイーンズランド州、オーストラリア) 創設年: 1996年(ラグビーの歴史は1876年まで遡る) タイトル歴: スーパーラグビー優勝(2011年)、スーパーラグビーAU優勝(2021年)

「情熱のアタッキングラグビー」で知られるブリスベンの雄。1996年と1999年にはレギュラーシーズン首位を獲得し、2011年にはウィル・グレニア、クエイド・クーパーを擁してスーパーラグビーを制覇した。

チームの司令塔を担うテイト・マクダーモット(SH)はオーストラリア代表でもスタメン争いを続ける実力者。ハンター・パイサミ(CTB)のパワーランは対戦チームにとって最大の脅威のひとつだ。

フレイザー・マクライト(FL)・ハリー・ウィルソン(No8)のバックロウコンビはスーパーラグビー屈指の破壊力を誇る。


ウェスタンフォース

本拠地: スビアコ・オーバル(パース、オーストラリア) 創設年: 2006年 タイトル歴: なし

オーストラリア西海岸・パースを本拠地とする、劇的な復活の歴史を持つチーム。2006年にスーパー14に新規参入したが、2017年にラグビーオーストラリアによってスーパーラグビーから除外される憂き目に遭った。それでもナショナルラグビーチャンピオンシップやグローバル・ラピッド・ラグビーで活動を継続し、2022年の再編でスーパーラグビー・パシフィックに復帰を果たした。

「消滅と復活」という稀有な経歴は、ウェスタンオーストラリアのラグビーファンにとって特別な意味を持つ。

ダーシー・スウェイン(LO)やベン・ドナルドソン(SO)はオーストラリア代表経験者。アグスティン・モヤノ(CTB)はアルゼンチン出身でリーグに国際色を加える存在だ。


パシフィック勢(2チーム)

フィジアン・ドゥルア

本拠地: ナンディ他(フィジー国内複数都市) 創設年: 2017年(スーパーラグビー参入は2022年) タイトル歴: ナショナルラグビーチャンピオンシップ優勝(2018年)

フィジーラグビー界の夢の結晶。2017年にオーストラリアのナショナルラグビーチャンピオンシップ(NRC)に参戦し、2018年に初年度から王者に。コロナ禍でNRCが廃止されたのちも存続を訴え続け、2022年についにスーパーラグビーへの参入を実現した。

フィジーの国技とも言えるラグビーの誇りをひとつのチームに凝縮したような存在で、ホームゲームはスバやラウトカなどフィジー国内各地でも開催し、島全体でチームを支える。

フランク・ロマニ(SH)はフィジー代表のリンチピン。ビリミ・バカタワ(WTB)はヨーロッパから凱旋した速射砲アタッカーだ。イライサ・ドロアセセ(WTB)の加速力はスーパーラグビーでも屈指だ。


モアナ・パシフィカ

本拠地: ノース・ハーバー・スタジアム(オークランド、ニュージーランド) 創設年: 2020年(スーパーラグビー参入は2022年) タイトル歴: なし

サモア、トンガ、フィジー、マオリにルーツを持つ選手たちで構成された唯一無二のチーム。州協会を代表するのではなく「太平洋のアイデンティティ」そのものを体現するという、スーパーラグビー史上でも類を見ないコンセプトで2022年に誕生した。

しかし2026年4月15日、同チームはシーズン終了をもって解散することが正式に発表された。財政難が主因とされており、太平洋ラグビーの発展という夢の灯が消えることへの惜しむ声は大きい。

日本代表フッカー・原田衛(HO)がチームに在籍していることは日本のファンにとって特別な意味を持つ。ジュリアン・サベア(CTB)やンガニ・ラウマペ(CTB)は元オールブラックスとして豊富な経験をチームにもたらしてきた。

チームが残すわずかな試合、その一戦一戦に太平洋の誇りが込められている。


まとめ — スーパーラグビーをもっと楽しむために

チーム創設タイトル注目選手
クルセイダーズ199613回優勝(最多)ウィル・ジョーダン(FB)
ブルーズ19964回優勝ボーデン・バレット(SO)
チーフス19962回優勝ウォレス・シティティ(FL)
ハイランダーズ19961回優勝トマス・ラバニーニ(LO)
ハリケーンズ19961回優勝カム・ロワガード(SH)
ACTブランビーズ19963回優勝ジェームズ・スリッパー(PR)
NSWワラタス1996ジョセフ・スアアリイ(WTB)
クイーンズランドレッズ19962回優勝テイト・マクダーモット(SH)
ウェスタンフォース2006ダーシー・スウェイン(LO)
フィジアン・ドゥルア2017NRC1回フランク・ロマニ(SH)
モアナ・パシフィカ2020原田衛(HO)※2026年シーズン後解散

各チームの背景を知ったうえで試合を観ると、プレーの一つひとつに意味が生まれる。どのチームを応援するか、まずはひとつ選んでみるところから始めてみてはいかがだろうか。


データ基準日: 2026年4月21日