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ポルトガル代表(オス・ロボス)2026 完全ガイド — 欧州王者になった「半分アマチュア」の国

#ポルトガル #オス・ロボス #RWC2027 #ワールドカップ2027 #ラグビーヨーロッパ選手権 #ティア2 #ラグビー

2026年3月15日、スペインのレガネスにあるエスタディオ・ブタルケで、ラグビーの勢力図が少し書き換わりました。

ポルトガル 19-17 ジョージア。

ラグビーヨーロッパ選手権の決勝。長年この大会を支配してきたジョージアを、ポルトガルが2点差で下しました。ポルトガルにとって2004年以来となる欧州タイトルであり、2005年以来のジョージア戦勝利です。

主将のジョゼ・マデイラは試合後、こう語っています。「ポルトガルラグビーの歴史における巨大な瞬間だ」と。

そのポルトガルは、つい数年前まで「代表選手の半分が仕事や学業と両立している国」でした。この記事では、その変化の中身を数字で追います。


基本データ

項目内容
愛称オス・ロボス(Os Lobos=狼たち)
世界ランキング15位・69.39ポイント(2026年7月20日時点)
RWC2027出場権獲得済み(ラグビーヨーロッパ選手権2025で準決勝進出)
ヘッドコーチサイモン・マニックス
主将ジョゼ・マデイラ(BR)
直近のタイトルラグビーヨーロッパ選手権2026 優勝

日本は同時点で10位(76.42)。ポルトガルとの差は約7ポイントで、決して安全な距離ではありません。


2026年、ジョージアを止めた試合

決勝の中身を見ると、この勝利の性格がよく分かります。

得点者

  • ポルトガル:マヌエル・ヴァレイロ(FB)のペナルティゴール4本、ヴァンサン・ピント(WG)のトライ、ヴァレイロのコンバージョン
  • ジョージア:イリア・スパンデラシュヴィリ、トルニケ・ジャラゴニア(テド・アブジャンダゼがコンバージョン)、ベカ・ゴルガゼの3トライ

トライ数はジョージアの3に対してポルトガルは1。それでも勝ったのは、ヴァレイロが蹴り続け、そして守り切ったからです。マニックスHCは「我々のディフェンスはこの試合、かなり英雄的だった」と表現しました。残り9分にジョージアのFBがイエローカードを受けた後の時間帯を、ポルトガルは守り抜いています。

そしてこの試合で4本のPGと1本のコンバージョンを決めたヴァレイロは、当時21歳です。


RWC2023 — フィジーを倒した79分

ポルトガルを世界に知らしめたのが2023年フランス大会でした。プールCの4試合を振り返ります。

日付対戦相手結果会場
9月16日ウェールズ8-28ニース
9月23日ジョージア18-18トゥールーズ
10月1日オーストラリア14-34サンテティエンヌ
10月8日フィジー24-23

プールC4位・勝点6。しかし内容は数字以上でした。

ジョージア戦では13点のビハインドを背負いながら、WGラファエレ・コスタ・ストルティの2本の単独トライで一時逆転。18-18の引き分けに持ち込みます。

そしてフィジー戦。77分に途中出場のロドリゴ・マルタがトライを決め、79分にサミュエル・マルケスがコンバージョンを成功させて24-23。ポルトガルにとってワールドカップ史上初の勝利でした。


「33人中16人が、ラグビー以外の仕事や学業を持っていた」

ここがポルトガル代表を語るうえで最も重要な事実です。

2023年ワールドカップに臨んだ33人のスコッドのうち、プロ契約選手は17人。残る16人は学業か、ラグビー以外の仕事と両立していました。ポルトガルは大会に出場した20カ国の中で唯一、アマチュア選手を含むチームだったのです(ポルトガル紙 Diário de Notícias、2023年9月15日)。

さらに遡ると、2007年大会のポルトガル代表はもっと極端でした。当時のチームには獣医・医師・弁護士が並んでいます。

  • ルイ・コルデイロ — 獣医。養豚業の経営に携わる
  • ジョアン・コレイア — 整形外科医(ルス病院)
  • ジョゼ・ピント — 整形外科医
  • マルセロ・ドレイ — ポルトの弁護士
  • ミゲル・ポルテラ — 弁護士、ディレイト(クラブ)のディレクター
  • トマス・モライス — 2007年の主将。後にスポルティングの育成年代サッカー部門ディレクター

※職業は上記記事に記載された時点のものです。

このチームがオールブラックスと対戦した後、ニュージーランド側からロッカールームでビールに誘われた——というエピソードが今も語り継がれています。

2023年、そして2026年のポルトガルは、そこから確実に変わりました。ただし「完全にプロ化した」わけではない。半分プロ、半分兼業という状態から欧州王者になった。それがこの国の現在地です。


注目選手 — 所属クラブとキャップ数

主力の多くはフランスのクラブでプレーしています。数字は2026年7月22日時点

選手カタカナPos所属クラブ年齢キャップ
Tomás Appletonトマス・アップルトンCE3349
José Madeiraジョゼ・マデイラ(主将)BRグルノーブル(仏プロD2)2546
Diogo Hasse Ferreiraディオゴ・ハッセ・フェレイラPRダックス(仏)2932
Nuno Sousa Guedesヌーノ・ソウザ・ゲデスFH/FB3129
Raffaele Costa Stortiラファエレ・コスタ・ストルティWGグルノーブル(仏プロD2)2525
Manuel Vareiroマヌエル・ヴァレイロFBプロヴァンス(仏プロD2)2121
Samuel Marquèsサミュエル・マルケスSHベジエ(仏)37
Vincent Pintoヴァンサン・ピントWGコロミエ(仏)27

この表から読み取れること

マデイラ(25歳で46キャップ) — グルノーブル一筋(2020年〜)で、フランス育成枠(JIFF)の資格を持ちます。2025/26シーズンは20試合・約2,541分出場と、クラブでも主力です。

コスタ・ストルティ — ベジエ(2022-24)→スタッド・フランセ(2024-25)→グルノーブル(2025-)とステップアップ。2025/26シーズンはクラブと代表を合わせて25試合で22トライ・110得点。RWC2023のジョージア戦で2トライを挙げたのもこの選手です。

ヴァレイロ(21歳) — プロヴァンス(エクス)で2025/26にプロD2を17試合、トップ14も1試合経験し、クラブでは123得点。欧州選手権決勝の勝利をキックで作った若いFBです。

マルケス(37歳)とピント(27歳) — 2人ともフランス国籍を持ちながらポルトガル代表を選んだ選手です。マルケスはポー出身のJIFFで、ポー(2019-21)→カルカソンヌ(2021-23)→ベジエ(2023-)。RWC2023フィジー戦の決勝コンバージョンを蹴ったのが彼でした。

ハッセ・フェレイラ — 身長171cm・体重105kgという典型的なタイトヘッドプロップ。経歴が面白く、セール・シャークス(イングランド)に一時在籍したのち、スペインのアパレハドーレス(2019-20)→ディジョン(2020-21)→ダックス(2021-)という道を辿っています。


ポルトガルラグビーが抱える課題

強くなった一方で、構造的な問題は残っています。

現地報道によれば、ポルトガルラグビーは選手が就職や進学のタイミングで競技を離れてしまうという悩みを長く抱えてきました。若い選手が大学に進む、あるいは海外へ留学する。そこで競技から離れる。国内リーグが選手を職業として支えきれていないことの裏返しです。

代表の主力がフランスのクラブに集中しているのも、同じ構造の別の側面です。フランスリーグは世界有数の規模を持ち、そこでプロとして生きる道がある。国内に留まった選手は、仕事や学業と両立せざるを得ない。

それでも欧州王者になった——という点にこそ、この国の面白さがあります。


RWC2027に向けて

ポルトガルはラグビーヨーロッパ選手権2025で準決勝に進出し、ジョージア・スペイン・ルーマニアとともに欧州枠でRWC2027の出場権を獲得しています。

2027年オーストラリア大会は出場枠が24に拡大され、決勝トーナメントはラウンド16から始まります。各プール3位のうち成績上位4チームにも突破のチャンスがある方式です。RWC2023でプール4位・勝点6だったポルトガルにとって、この方式変更は明確な追い風になります。


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